【TPP】2015年10月20日 内閣によるTPP説明会での関税撤廃項目まとめ

2015年10月20日閣によるTPP説明会では、物品の市場アクセス、すなわち、物の関税について、要点のみの説明となった。品目数が9000もあるため、全てを説明できないのは当たり前で、頂いた資料の中で、関税の即時撤廃、一部の数量で撤廃、撤廃しない、という3項目に分けて、まとめることに致しました。

関税ゼロ、無関税枠がある品目の事業者、業界は、不満を持っており、その保障をどうしていくのか?という問題が今後出てくると思われますが、全て確認できていない所が申し訳ないですが、基本的に輸出量がもともと少なく、輸入に頼っている所(産業が育っていない品目)は、関税を撤廃していおらず、

輸入量が少ない品目(自国産業で賄えている自給率が高いと思われるもの)は、関税の即時撤廃があり、

バターなど、国内需要が追い付いていない所は、無関税枠の輸入を増やすような措置がある印象です。

 

 

【関税即時撤廃】

ぶどう 生産量18.6トン 輸入量1.8トン(4年平均)

子豚 8.5%

乳糖、カゼイン、ミルクアルブミン

卵白(鶏卵ではない)鶏卵で251万トン、卵白の輸入量は9.5万トン

妊娠馬(競走馬は即時撤廃ではない)輸入量は170頭のうち7頭が妊娠馬

飼料用ホエイ(チーズの搾りかす)

飼料用ビタミン調整品、その他の飼料用添加物

飼料用麦(食用麦は500万トン、飼料用麦は50万トン)

 

ブロックボード等

フリー板

さねはぎ加工

MDF

その他建築用木工品

その他木工品

SPF製材(NZのみ)

 

きはだまぐろ

かつお

冷凍べにざけ、冷凍まだら(生鮮は別)

すけとうだらのすり身(すけとうだらは別)

タラ類の卵

にしん

にしんの卵、

ひらめかれい

カニ(ずわいがに、たらばがに等)

エビ

エビ調整品

マグロ缶詰

 

【枠内税率が即時撤廃したもの】

※一定の数量は無関税なり、関税をゼロにしないものの低いもの。

チョコ25%⇒0% 3000トン。11年目に6000トン。

※批准時に3000トンは関税ゼロ、徐々に増えていき、11年目に無関税枠が6000トンになるということ。

飼料用脱脂粉乳 もともと関税ゼロ。

単体飼料用丸粒とうもろこし もともと関税ゼロ。

大豆油かす菜種油かす、ふすま、ぬか、その他のかす もともと全て関税ゼロ。

キャンディ、ホワイトチョコ、砂糖菓子 枠内税率25⇒0% 枠内数量3000トン⇒6000トン11年目

 

【関税を撤廃しないもの】

アイスクリーム 6年で63%~67%削減

無糖ココア調整品 TPP枠を新設 5500トン、即時。枠内税率21.3⇒10.7%

低脂肪調整食用脂 1500トン⇒2300トン、枠内税率21.3⇒10.7%

パイナップル缶詰 6年目までに15%削減(生産0.06万トン、輸入3.8万トン)直近4カ年平均

パスタ スパゲティ、マカロニは30円キロ⇒12円キロ(9年目)

※その他パスタは11年目で撤廃。

のり、こんぶ、わかめ、ひじき即時15%削減

 

▼化学(米国)

インフォキュービックジャパン様、シェービングジェル、肌用の洗浄クリーム

プラスチック製品、

 

▼繊維(米国)

化合繊維(繊維、糸)※一部即時撤廃されないものもあり

化合繊維物、綿織物 ※一部即時撤廃されないものもあり

毛織物

じゅうたん ※一部即時撤廃されないものもあり

衣類 ※一部即時撤廃されないものもあり

 

▼鉄鋼(米国)

フェロアロイ

鉄鋼製フランジ

ステンレス製キッチン用品

 

▼非鉄金属(米国)

銅箔

アルミ製品の大部分

蒸気タービン

エアコン

金属加工用マシニングセンター

施盤(数値制御式)

電動機、発言器

ビデオカメラ

 

▼自転車(米国)

 

▼自動車部品(米国)

バックミラー

自動車用の錠

1000~2000CCのエンジン※2000CC超のエンジンは5年目で撤廃

エンジン関連部品

自動車用エアコン

電動軸(クランクシャフト)

ガスケットディストリビューター及びイグニッションコイル

ワイパー

シールドビームランプ

バンパー

シートベルト

ブレーキ

ギアボックス

駆動軸

車輪

サスペンション

ラジエーター

エアバック

 

 

▼精密機器・楽器・光学機器など(米国)

サングラス※メガネフレームは5年目で撤廃

腕時計

楽器

 

▼その他(米国)

テニスラケット

釣り道具

ゴルフクラブ

ボールペン

陶磁器(一部10年目撤廃)0.7%~28%

 

 

▼化学(カナダ)

有機化学品

化粧品

シャンプー

せっけん、潜在

プラスチック製品

 

▼繊維、繊維製品(カナダ)

紡織用繊維及び製品(糸、テキスタイルの一部)

タオルの一部(今治タオルなど)17%

衣類の一部

 

▼家電、産業用機械(カナダ)

湯沸かし器

エアコン

施盤(数値制御式)

ベアリング

電動機、発電機

カラーテレビ

 

▼鉄鋼(カナダ)

鉄鋼製品

ナット

リベット

鉄器の一部(南部鉄器など)

 

▼精密機械(カナダ)

光ファイバー

レンズ

メガネフレーム

映写機

潜望鏡

水準器

マイクロメーター

ストロボスコープ

サーモスタット

腕時計

楽器

 

▼自動車部品(カナダ)

自動車に使用する種類の錠

エンジン関連製品

自動車用エアコン

電気自動車用蓄電池

ディストリビューター及びイグニッションコイル

ワイパー

モニター

シールドビームランプ

車体

バンパー

シートベルト

ブレーキ

ギアボックス

駆動軸

車輪

サスペンション

ラジエーター

マフラー

ステアリング

エアバッグ

タイヤ

 

▼その他(カナダ)

陶磁器

ボールペン

フェルトペン、マーカー

リボン 8.5%~15.5%⇒0%

ゴルフクラブ

ボール

シャープペンシル

鉛筆の芯

 

▼化学(ニュージーランド)

黒色インキ

ゴム製品

 

▼家電、産業用機械(ニュージーランド)

エアコン

瞬間ガス湯沸かし器

フォークリフト

ブルドーザー

ショベルカー

マシニングセンター

 

▼繊維(ニュージーランド)

紡織用繊維の織物類(プラスチックをしみこませたもの)※一部5年目撤廃

 

▼鉄鋼(ニュージーランド)

めっき鋼板

冷延鋼板の一部

鉄器の一部(南部鉄器など)

 

▼自動車(ニュージーランド)

乗用車(キャンピングカー、救急車の一部) 10%⇒0%

バス

トラック

※上記以外の乗用車トラックは無税。

 

▼自動車部品(ニュージーランド)

タイヤ

エンジン

点火プラグ

車体

駆動軸 10%⇒0%

 

▼その他

陶磁器 ※一部7年目撤廃

メガネフレーム

 

▼化学(オーストラリア、EPAあり)

プラスチック製の板、フィルム(プロピレンの重合体製)

ポリカーボネート

 

 

▼自動車(メキシコ、EPAあり)

乗用車

小型トラック

 

▼自動車部品(メキシコ、EPAあり)

エンジン部品

ギアボックス、車体の部分品

 

▼化学(ペルー、EPAあり)

医療用品の一部

 

▼家電、産業用機械(ペルー、EPAあり)

電動剃刀 9%⇒0%

 

▼自動車(ペルー、EPAあり)

乗用車 ※1500CC以下と、1500cc超の一部) 9%⇒0%

 

▼自動車部品(ペルー、EPAあり)

点火プラグ

自動車用ラジオ

 

▼化学(ベトナム、EPAあり)

着色料、インキ

接着剤

 

▼家電、産業用機械(ベトナム、EPAあり)

ロードローラー

ベアリング

 

▼繊維、繊維製品(ベトナム、EPAあり)

綿糸及び綿織物 5%~12%⇒0%

化合繊(繊維、糸織物)5%~12%⇒0%

衣類 5%~20%⇒0%

タオルの一部(今治タオルなど)12%

 

▼鉄鋼(ベトナム、EPAあり)

鉄線、ケーブル

 

▼自動車(ベトナム、EPAあり)

※自動車は、再協議

 

▼自動車部品(ベトナム、EPAあり)

太田がエンジンの一部

エアコン部分品

 

▼その他(ベトナム、EPAあり)

メガネフレーム 10%⇒0%

以上

【TPP】2015年10月20日 内閣説明会での懸念への回答まとめ

2015年10月20日、内閣によるTPPの説明会があり、そこでの内容をまとめている所です。

 

説明会は、取材一般、内閣関係者合わせて700人が参加しており、1時間半の説明と30分の質疑応答時間で、膨大な量があり、飛ばしながら要点のみ説明をしていました。質疑応答は、10人程度発言していたかと思うが、3,4人は質問ではなく、不安をぶつけたり、意見を述べたりするような状況でした。

 

日本は、関税の撤廃の比率が、全体の品目の95%であるのに対し、他の国は99%~100%と差が出ている所から見ると、日本、甘利大臣は守るべきところは守って、上手く交渉したと言えると考えます。

 

そして、事前に懸念になっていたところも日本は譲歩しない条件で出来る、という内容が多く、ほっとしている方も多いと思います。ここで、テレビなどで有識者が発言していた間違いを正す、ということで、澁谷氏が懸念に答える様に説明しておりましたので、それを下にまとめます。

 

▼知的財産の、非親告罪の所のせいで、コミケなど出来なくなるのではないか?

⇒本家に売上が減るなどの実害がない限りは大丈夫。

 

▼国民皆保険が脅かされるのではないか?、ISD条項(ISDS)のせいで、日本政府がアメリカの投資家に理不尽に訴えられるのではないか?自国のルールを制定しづらくなるのではないか?

⇒自国の公共の目的に基づく規制措置は妨げられないので、問題はない。

 

▼内国民待遇(自国の企業を優遇する事)の禁止で独立行政法人など公益の団体の活動が脅かされるのではないか?

⇒上記の自国の公共の目的に基づく内容であれば問題ない。

留保リストに入れることで、内国民待遇も許される。

しかしラチェット協定で、これ以上は厳しくしないでくれ、となり、

今の規制を厳しくした場合、ISD条項で訴えられる可能性が考えられるが、

包括的な留保(将来留保)に入れれば、そこも問題ない。

要はその国がどうしても守りたいところは、事前に言えば守ることを容認して貰える、という事。

 

▼国有企業があることで、ISD条項を使って理不尽に裁判を起こされるのではないか?

⇒国有企業が海外に出て、国の補助を得て活動することは禁止だが、自国の公益のために活動することは訴えられることにはならない。

 

▼ソフトウェアを海外に販売する際に、その国で「ホストPCを我が国におけ、ソースコードを開示しろ」などと要求される可能性がいままであった

⇒それは禁止になる。

 

▼政府調達で、外国に入札を開かなければいけない基準となる金額が下がり、国内の仕事が減るのではないか?

⇒WTOのGPA協定で定めている内容を準拠しているため、基準の金額が下がることはない。

 

▼ディズニーのために、一般著作物の権利を50年だった所70年にしたのではないか?

⇒映画、実演、レコードはもともと70年で、全く根拠がない。

 

以上