無からお金を生み出す錬金術師、銀行の成り立ち

今、当たり前のように使っているお金ですが、この1万円札や500円玉の価値は誰が保証してくれているんでしょうか。政府や中央銀行が保証してくれているのですが、政府が破たんしたら、1万円札は紙くずになります。

日本ではお金がゴミになることは今は考えられませんが、他の国では、お金の価値がなくなって紙くずになることもありました。昔は、金(きん)がある量だけ、紙幣を扱っていました。いわゆる金本位制です。

 

もっとさかのぼると、紙幣は、もともと預かり証だったのです。金をたくさん持ち歩くのは重たいし、保管するにも盗難されるかもしれません。そこで、金の計量、保管のプロに預けて、預かり証を発行したのです。これが銀行の始まりです。

 

金匠と呼ばれていました。金匠が発行した預かり証が流通して、預かり証で物を買うようになると、わざわざ重たい金に交換する人が少なくなりました。ざっと、預けた金額の1/4しか交換に来ないのです。という事は、1億円預けて貰えれば、4億円分の預かり証を発行できるのです。預かり証で経済が回っている限り、銀行はゼロからお金を生み出すことが出来るのです。リアル錬金術です。昔のアメリカは民間の銀行が自由に紙幣を発行できたのです。

 

銀行は考えました。どうせ交換しに来ないなら、今金庫に眠っているお金の量を越えて、貸し付けてしまおう。1億円しか金庫にないのに、3億円融資したのです。1億円あれば、4億円貸し付けても大丈夫と経験則で分かっていました。これを準備率と言います。この場合は、準備率が25%になります。これが低いと、何かあった時に、金庫のお金以上に引き出したいお客さんが来て銀行が破たんします。

 

本来なら、1億円の中から貸し付けをして利子を取って、そこから利益を生むはずが、4億円貸し付けて利子を取るので、物凄く儲かったのです。だって、企業がお金を借りに来て、つぶれても痛くもかゆくもない。もともと何もなかったのだから。儲ける機会は失われていますが、銀行はお金を失っていません。なんという商売でしょうか。

 

19世紀から20世紀にかけてアメリカには中央銀行が無い時期がありましたが、その理由については別でお伝えしていければと思います。

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