アメリカは1837年から1914年まで中央銀行がありませんでした。今の中央銀行、FRB, 連邦準備制度理事会と言いますが、それは、3回目に作った中央銀行なのです。他の国は、中央銀行なのに、なぜアメリカはこの呼び方なのか。なぜ中央銀行がない時代があったのかについて話していければと思います。
1回目の中央銀行はアメリカが独立して約15年後の1791年にできました。しかし、議会の反発があり、1811年、更新の時期に議会の承認が僅差で得られず、中央銀行が無くなってしまいます。
中央銀行がなくなると、インフレが加速して、銀行があった方がいいという意見が出て5年後に2回目の中央銀行が出来ますが、また1836年の更新の時期に反対派が勝ち、また無くなります。
なぜ中央銀行に反対する人たちがいるのでしょうか。
1つは、イギリスが持ってきた銀行というシステムを嫌う人たちがいたこと。
2つめは、民間銀行の利益が減るからです。中央銀行が無い場合、民間の銀行が紙幣を発行できる状態でした。そして金本位制でしたので、金を持っている量だけ紙幣を発行できるはずが、あまり金に交換して欲しいと言ってくる人がいないので大量に発行する銀行もありました。
中央銀行が出来ると紙幣発行権を奪われます。紙幣を発行できないと、預けられている分しか貸し出せないので、民間の銀行の利益を圧迫するからと考えられます。
2回目の中央銀行が無くなった後に取り付け騒ぎが起こります。銀行は、預けているお金よりも多い金額分の紙幣を発行していましたから、たくさんの人がお金を引き出そうとすると困ってしまいます。金庫にお金がなくて引き出せないとなったら、信用がなくなり、引き出したい人はもっと増えて破綻していきます。
1893年にそれが起こりました。銀行が倒産すると貸し出しが減り不況になっていきます。中央銀行があれば、紙幣を発行して、企業にお金を貸したり、公共事業をやって仕事を作ったりしますが、中央銀行がないので困りました。そこにJPモルガン商会が救世主として現れました。政府が債権を発行してJPモルガン商会がそれを買い取って政府のお金を用意しました。本来であれば中央銀行がやるべきことだったのです。
政府がコントロールできる中央銀行を作る必要があり、3回目に出来たのがFRBです。議会には、中央銀行と聞くだけでアレルギー反応を起こす議員がいたため、中央銀行という名前を入れず作りました。
FRBが出来たのが1914年。そして第一次世界大戦がはじまります。戦争をするのにはお金が必要です。アメリカは、ヨーロッパ諸国にたくさんお金を貸しだす準備を整えて、この戦争を迎え、たくさんの債権を持つ強い国なることになります。
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