皆さんが情報を取得できる先は多様化、複雑化してきていて、テレビやネットニュースを始め、SNSやまとめサイトなど2次利用の情報も出てきます。2次利用になると、情報を削ることや、惹きつけるタイトルにする過程で、本来の意味とは真逆の印象を与えるタイトルになったり、本文でも意図的に、情報を操作する事も出来るようになっています。
という事は、間違えた情報がたくさん出て来る可能性がある中で、1つの情報ソースだけに頼るとだまされやすいという事になります。
また、間違った情報でなくても、意図的、意図的ではない場合含めて印象操作をされることがあります。政治などは特に考えが分かれるものなので、1つの物事を言うにしても自民党に有利な言い方をする、野党に有利な言い方をする事が出来ます。例えば、1つの報道しか見ない習慣があった時に、その報道が、1つの政党がやっていることは正しくて他は間違っているという報道の仕方をしていたら、そこに疑問を持たないと、その考えに染まってしまう事になります。
その報道の言っていることが正しいのか、簡単に確認するのには、いくつかの報道を見ることで、反対賛成それぞれ、どんな言われ方をしているのか分かります。実際に検証するためには、結構な労力がかかります。
哲学者の適菜収さんの受け売りですが、子供の頃は、スポンジのように情報を吸収するだけでいいが、大人になったら、固定化した自身の考え方を疑い、それでいいのかどうか、検証する必要があります。複数の媒体を見ているから大丈夫という事ではなく、検証するプロセスを持つ必要があるのです。そして自分の固定化した考えが本当に正しいのか、検証していかなければいけません。
データを見て、そのデータが恣意的に切り取られていないか、そもそもデータの見方が間違っているかもしれない、そのデータから見える帰結が違っているかもしれない、という事を検証していかなければいけません。
マクロなデータの多くは内閣府にありますので、自分で調べるようになれば、何となく、このデータは厚生労働省だなとか、これは総務省だなとか分かってきますが、分からない時は、手探りで調べたい項目を色々な言い方に変えて検索してデータを探っていくことも必要だったりします。
例えばアベノミクスは失敗だった、という結論があった時に、そもそも、成功の定義はあいまいだと、議論してもすれ違いの議論になってしまうので、言葉の定義がはっきりしなかったり、具体的に何を持って失敗だったのか分からないと、議論が出来ません。
では実質賃金の低下が、アベノミクス失敗の理由だとしましょう。実質賃金は、厚生労働省のHPか何かに出ています。では、いつからいつまでの期間をみて低下していると言っているのでしょうか。
安倍政権は、2回あります。1回目の時から、と2回目の時から、とスタート地点を変えることで数値も変わってきます。2008年にリーマンショック、2011年に東日本大震災が起こりました。このような外的要因も加味する必要があります。では、これである期間で、実質賃金が下がっている事が分かり、データとしては正しいという事が分かりました。
では、これがアベノミクス失敗の帰結になっているのでしょうか。アベノミクス失敗の定義が無い中で議論するのは難しいですが、国民が豊かになったという事にしましょう。国民が豊かになったかどうかは、GDPや実質賃金で分かります。実質賃金は下がっていて、GDPも上がっている。いや、GDPは実質GDPもあるし名目GDPもある・・・。外的要因は何かな、そもそも、政府が何もやらなくても民間企業が頑張って成長するんじゃないかな。為替の影響って企業業績にどの位影響あるのかな・・・。
と、数珠つなぎで調べることが多くなってきます。自分でそれを調べることで一般的な経済の知識が身に付いて、アベノミクスは失敗か成功か自分の意見にたどり着くまでの時間が短くなるのです。
一朝一夕の勉強では歯が立たなくて、地道な勉強をすることで、検証が出来るようになる、という啓蒙のお話でした。
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